「この前貸したお金はいつになったら返してくれるの?」

まず対面してものを言え。そもそもどうやっておれはお前に金を借りたんだ、お前はずっと壁の向こうにいるのに。ごめん、これは意地が悪かった。でもそういうこと言うなら返させろよ。返してないの思い出しちゃったじゃねーかよ。当たり屋じゃねえんだから。恩だけ売って遠ざかるのは、教祖として最適すぎるんじゃねえの? そういう商売なの? そういう商売だったね。違うか。いやごめんて、マジで。おれはお前を殴ることさえできない。お前がおれから借金を取り立てられないのと同じ様に。双方が死ぬまで。双方が死んでも。この壁がある限り、永遠に。

2017年4月11日 初出

2019年1月17日 改稿